奥が深いんです その10
人類の紫色の歴史にとってもっとも画期的な事件は、一八五六年の合成染料の紫色出現です。
一五歳でロンドンの王立化学カレッジに入学したウィリアム・ヘンリー・パーキソは、自宅にも実験室を設け、マラリアの特効薬キニーネを合成する実験に熱中していたが、彼の期待に反して、キニーネの代りに赤褐色の沈澱ができた。
これに水を加えて沸騰させてみたところ、思いがけなく美しい紫色の溶液ができ上ったのです。
こうして世界ではじめての人造染料、アニリソ染料が出現し、以後人類の色彩文化を一変させることになりました。
パーキンは史上最初の人造の紫色に、「モーヴ」という名前を与え、父と兄の筋力で染料工場を建設した。